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ピロリ菌感染と胃癌

ピロリ菌に感染すると、数週から数か月でピロリ菌感染胃炎を発症します。日本人の場合約8割以上に萎縮性胃炎という胃酸の少ない状態に陥っています。このうちの約1%未満が分化型胃癌へ進行します。萎縮性胃炎にならず、ピロリ菌感染胃炎から直接発症する病気もあります。胃・十二指腸潰瘍や胃MALTリンパ腫、機能性胃腸症、胃ポリープ、ITPなどがあります。女性に多い未分化型のスキルス胃癌もピロリ菌感染胃炎から生じます。ピロリ菌除菌は胃癌の再発をおよそ1/3に抑えますが、粘膜の萎縮が進んだ胃の粘膜からは「除菌後胃がん」が発生します。すでに癌ができやすくなっているためです。そのため除菌が成功しても主治医と相談することが必要です。さらに高齢になってから除菌をしても抑制率は20-30%にとどまります。多くの方が医療機関を受診し、ピロリ菌を除菌することで、日本の胃癌死亡率は今後 もっと減少することが予想されます。

参考 日本癌学会 第23回日本癌学会市民公開講座

ピロリ菌検査法

ピロリ菌の検査方法には、内視鏡検査を必要としない方法として尿素呼気試験、抗体検査(尿・血液)、検便(便中抗原)があります。一方、内視鏡検査で施行する方法として培養法、顕鏡法、迅速ウレアーゼ法があります。当院では原則として血中ピロリ抗体を測定し感染の有無を調べています。しかしながら偽陰性となる場合や除菌療法が成功したかの効果判定には使いにくく、その場合は尿素呼気試験などを用います。

ピロリ菌除菌療法

ピロリ菌の除菌療法としてはプロトンポンプ阻害薬に加えて、抗菌薬のアモキシシリンクラリスロマイシンを1週間服用します。しかし1-2割の方で除菌が成功しませんので、その場合はプロトンポンプ阻害薬に加えてアモキシシリンとメトロニダゾールを服用します。ピロリ菌除菌を保険診療で行うには2つの条件を満たす必要があります。

1.1年以内に胃カメラをして、慢性胃炎と診断されること。2.ピロリ菌陽性と診断されること。

当院ではピロリ菌陽性の胃炎すべての方に治療が可能です。人間ドックなどでピロリ菌が陽性と診断され、内視鏡でも胃炎が確認されている場合は、除菌治療の対象となります。

除菌後の感染診断(除菌判定)

除菌後の感染診断については、除菌終了後4週間以上経過した患者さんに対して行います。

感染診断実施上の留意事項

1)ランソプラゾール等、ヘリコバクターピロリに対する静菌作用を有するとされる薬剤が投与されている場合については感染診断の結果が偽陰性になることがあるので、除菌前および除菌後の感染診断の実施に当たっては薬剤投与中止または終了後2週間以上経過していることが必要です。

2)除菌後の感染診断を目的として抗体検査を実施する場合は、除菌終了後6か月以上経過し、かつ除菌前の抗体検査結果との比較が可能な場合に可能です。

胃がんの疫学について

胃がんは、胃の内側粘膜の細胞ががん細胞になり、秩序なく増えてゆくことによりおきます。早い時期にはほとんど症状はありません。癌が粘膜下層、固有筋層、漿膜へとかなり進行してからみぞおちの痛み・吐き気・体重減少などの症状が出てきます。定期的な検診をお勧めします。また症状があれば早めに医療機関を受診してください。厚生労働省がん登録の結果では1年間に約134000人が胃がんと診断されています。胃がんと診断される方は男性に多く、50歳から増加し70歳代でピークを迎えます。男性ではもっとも多い癌(16.4%)で、女性では乳癌、大腸癌に次いで3番目に多い癌(9.8%)です。

 

胃がんの原因

多量の塩分、ヘリコバクターピロリ菌、喫煙

多量の飲酒

胃への刺激を減らすこと、塩辛いものを減らし野菜や果物を積極的に食べることで胃がんになりにくくなると考えられます。

 

参考 厚生省全国がん登録 2016年速報

胃がん検診(内視鏡)を受けられるかたへ

胃がん検診の目的と方法

胃がん検診は、症状のない時期にできるだけ早く胃癌をみつけ、早く治療する目的で行われています。その方法には、バリウムを用いる方法と内視鏡を用いる方法があり、いずれもその効果が証明されています。また、両者の方法には長所と欠点があります。

胃内視鏡検査の方法

口から胃内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸を内腔から観察し、病気を探します。異常がある場合は、病変の一部をつまみ、細胞の検査を行うことがあります。また色素を散布して、病変を見やすくすることがあります。なお生検が行われた場合は、保険診療として別途請求(4000円ほど)がかかります。ピロリ菌感染が疑われた場合は確認する検査が必要になります。当日は健康保険証を必ず持参してください。生検を行った場合は粘膜にきずができますので検査後当日の食事は柔らかい消化の良いものにしてください。

鎮静剤の使用

ご希望の方は鎮静剤を使用することができます。使用については十分な説明をうけ、検査終了後当日は自動車、バイク、自転車の運転は控えてください。

結果のご説明

検査の所見は当日ご説明します。また白山市の胃がん検診では二次読影、必要があればレフリーチェックが行われるため、最終のご報告は検査から約3週後となります。

偶発症

胃内視鏡により粘膜に傷がつくことや、出血、穿孔(穴が開くこと)

生検部位からの出血

呼吸抑制

薬剤によるアレルギー(呼吸困難、血圧低下など)

 

偶発症の発生する頻度は、胃内視鏡検査では10万件に78件と全国調査により報告されています。この中には入院例も含まれています。現在、胃がん内視鏡検診による死亡事故は報告されていませんが、ごくまれに死亡の可能性もあります。なお、当施設では偶発症の防止のために十分な注意を払うとともに偶発症が発生した場合は最善の対応をおこないます。

 

参考:対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル 2015年度版

保険診療におけるヘリコバクター・ピロリ菌感染の診断・治療

対象となる方

1. 内視鏡検査または造影剤検査において胃潰瘍または十二指腸潰瘍の確定診断がなされた方

2. 胃MALTリンパ腫の患者

3. 特発性血小板減少症の患者

4. 早期胃癌に対する内視鏡治療後の患者

5. 内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされて患者

なお健康診断でおこなった内視鏡検査で胃炎が見つかった場合も除菌の対象となります。

ABC検診とは

ABC検診は血液中のピロリ菌抗体と血清ペプシノーゲンを測定し胃癌になるリスクを分類・評価します。ペプシノーゲン(PG)は人では2つのアイソザイム(PGⅠおよびPGⅡ)で構成され、PGⅠは胃底腺、PGⅡは胃全域と十二指腸で産生されます。ペプシノーゲンの約1%が血液中に出現します。血清ペプチノーゲン値、特にPGⅡ値は胃炎活動度を反映します。

ペプシノーゲン法 PGIが70以下かつPGI/Ⅱが3以下でペプシノーゲン法で(+)とします。

A群:ピロリ菌抗体(-)  ペプシノーゲン(-)

B群:ピロリ菌抗体(+) ペプシノーゲン(-)

C群:ピロリ菌抗体(+)  ペプシノーゲン(+)

D群:ピロリ菌抗体(-)  ペプシノーゲン(+)

A群はピロリ菌感染はしておらず、萎縮もほとんどない状態です。B群はピロリ菌感染はしていますが、萎縮もあまりなく、胃がんのリスクは低いです。D群は萎縮が強くピロリ菌が住めなくなった場合が考えられます。

ABC検診は可能性を判断するもので、胃内視鏡に代わるものではありません。定期的な胃内視鏡をお勧めします。

胃癌リスク層別化の必要性

 日本における胃癌のうち、ピロリ菌感染が関与していないのは0.3-0.6%であり、ほとんどの胃癌はピロリ菌感染胃炎を背景として発生します。すなわちピロリ菌感染は胃癌リスクであり、未感染ではほとんど胃癌リスクがありません。ピロリ菌感染の中でも内視鏡的胃粘膜萎縮が高度なほど胃癌リスクは高く、胃X線検診では萎縮・皺襞腫大の有無によって大きく胃癌リスクが異なることが示されています。ピロリ菌未感染か否か、萎縮、皺襞腫大など明らかに異なる胃癌リスクで層別化し、内視鏡検査を行うことが効率的で精度の高いスクリーニング検査に必要です。

 

参考:第42回日本消化器内視鏡学会セミナー

慢性胃炎の内視鏡的分類 -京都分類の基本とその課題ー

国立病院機構函館病院 間部 克裕 先生

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